第三者が提供した精子や卵子を使った不妊治療のルールを定める「特定生殖補助医療法案」について、提供精子による人工授精(AID)で生まれた当事者の団体が25日、見直しを求める声明を公表した。生まれた子どもの「出自を知る権利」の保障が不十分だとし、「子どもの声を聞いてもらえていない」と訴えている。
法案は超党派の議員連盟が4年近く議論して内容をまとめ、自民党、公明党、日本維新の会、国民民主党の4会派が今月、参議院に提出した。
「出自を知る権利」は、精子や卵子の提供によって生まれた子どもが、自分のルーツである提供者(ドナー)の情報へのアクセスを保障する。議連では、子どもが成人後に情報開示を希望した場合、身長、血液型、年齢の3情報を開示することを想定している。氏名など個人の特定につながる情報の開示は、申請を受けて、ドナー側が了承した場合に限られる。
これに対し、AIDで生まれた当事者の団体「非配偶者間人工授精で生まれた人の自助グループ」は厚生労働省で会見を開き、「出自を知る権利の考え方そのものが間違っている」と訴えた。団体は、すべての子どもにドナーを特定する個人情報が開示されない点▽個人情報を知りたい場合、ドナーの了解を得ないといけない点▽18歳になるまで開示請求できない点――の3点について、見直すよう求めた。
特にドナーの了承がないと個人情報が開示されない点について、「権利を行使する主体が子どもではなく提供者側にあることがおかしい」と指摘した。
会見に出席した当事者の20…